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新設法人が創業資金を調達する方法

会社経営
2025.08.06

 

新設法人が創業資金を調達する方法について解説していきます。

創業時の資金調達の選択肢

①日本政策金融公庫の「創業融資」

 創業期の方は、営業実績が乏しいなどの理由により資金調達が困難な場合が少なくありません。このため、日本政策金融公庫 国民生活事業では、新規開業・スタートアップ支援資金をはじめとした創業融資を通じて、幅広い方の創業・スタートアップを重点的に支援しています。

<日本政策金融公庫 創業融資の概要>

利用資格新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方
融資限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円)
返済期間設備資金は20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金は原則10年以内
金利基準利率(2.9%~4.4%)-0.65%
※R7年8月1日時点
担保・保証無担保・無保証人
自己資金税務申告を1期終えていない方は、事業開始に必要な資金の1/10以上
申込窓口日本政策金融公庫 各支店

②自治体の「制度融資」

 「制度融資」とは、中小企業や個人事業主が事業に必要な資金を円滑に調達できるよう、各都道府県および各市町村が設けている融資制度です。

 低利・固定金利での資金調達が可能になる等のメリットがありますが、利息の他に信用保証協会への「信用保証料」の支払いが必要となります。

 たとえば大阪府では、府内での創業を促進するため、開業・スタートアップ応援資金として以下のような制度融資を設けています。

<大阪府 開業・スタートアップ制度融資の概要>

開業資金地域支援ネットワーク型
利用資格開業前・開業後5年未満開業前・開業後1年未満
融資限度額3,500万円3,500万円
返済期間10年以内10年以内
金利1.4%
女性・若者・シニア・UIJターン※は1.2
1.2%
女性・若者・シニア・UIJターン※は1.0
保証料1.0%
※無保証人対応は1.2%
0.5%
※無保証人対応は0.7%
自己資金事業開始前もしくは開始後2ヵ月未満の場合、事業開始に必要な資金の1/10以上事業開始前もしくは開始後2ヵ月未満の場合、事業開始に必要な資金の1/10以上
申込窓口・取扱金融機関
・大阪信用保証協会
・大阪府金融課
・市町村(大阪市を除く)
・地域支援ネットワーク型取扱金融機関

③家族や知人・友人からの借入

 家族や知人・友人から借入れする場合でも、必ず借用書(金銭消費賃借契約書)を作成し、利息や返済方法について記載するようにします。

 あるとき払いの返済方法だと贈与とみなされて、課税される可能性があります。また、返済は必ず記録が残るよう、口座振込により行います。

日本政策金融公庫の「創業融資」と自治体の「制度融資」の比較

①主な違い

日本政策金融公庫制度融資(自治体)
融資元公庫民間金融機関(保証協会付)
審査公庫が直接審査金融機関+保証協会+自治体
利率比較的高め低金利+利子補給あり
保証料不要必要
スピード比較的早い手続きが複雑で時間がかかる
補助制度原則なし自治体の補助あり(利子・保証料)
地元金融機関との関係不要金融機関との関係構築に有効

②どちらを選ぶべきか?

とにかく早く資金が必要日本政策金融公庫
利子・保証料の補助を最大限活用したい制度融資(自治体)
信用金庫との関係を作りたい制度融資(自治体)
担保・保証人を避けたい公庫の無担保・無保証型

まとめ

 新設法人の資金繰りが資本金や自分の預貯金だけでは足りない場合、ある程度まとまった額を調達する必要があります。

 まずは、日本政策金融公庫の「創業融資」または自治体の「制度融資」を検討しましょう。それぞれにメリット・デメリットがありますので、上の表を参考に自社の状況に合ったものを選択しましょう。

 家族や知人友人から借入する場合は、必ず借用書(金銭消費賃借契約書)を作成して、利息や返済方法を決めましょう。また返済は記録が残るよう、口座振込により行ってください。

 どこで借りるにしても、必ず元本の返済+利息を支払わなくてはなりません。資金を借りる以上、きちんと返せる事業計画を練ることが大切です。

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