経営お役立ち情報

経費で落ちる領収書と落ちない領収書について

会社経営
2025.10.07

 「この領収書、経費で落ちる?」

 個人事業主さんや小さな会社でよくいただくご相談です。結論はシンプルで、事業との関連性が説明でき、金額が妥当で、証拠(書類・データ)が整っているならOK。ここでは、実務で迷いやすいポイントだけをわかりやすく整理します。

経費で落ちる(=税務上、費用として認められやすい)領収書

経費で落ちるもの

事業との関連性が明確であること

金額が合理的であること

証拠(書類・データ)が整っていること

経費で落ちない(=税務上、費用として認めらない)領収書

経費で落ちないもの

・私的、家事関連の支出(業務関連性が説明できないもの)

税金、罰金の一部※

 ※法人税・住民税の本税、各種加算税・延滞税、罰金・過料は損金不算入

接待交際費の一部(中小企業の場合、年800万円を超える部分※)

 ※中小企業は、接待交際費のうち「年800万円まで」もしくは「接待飲食費×50%」の

  いずれかを損金算入(税務上の経費と)することができます

  裏を返すと、これを超える部分は損金算入(税務上の経費と)することができません

グレーの経費

 例えば誰かと会食をした場合、それが事業にかかわる人との会食であればシロの経費になりますが、家族やプライベートの友人と食事したものを経費にしてしまうと、これはクロです。

 シロとクロの両方にまたがる支出がグレーになります。ここの判断基準は難しく、お金を支払った本人以外に判断ができないのですが、基準としては「○○したことにして」というように言い訳がつく経費はクロです。

消費税の課税事業者であれば、インボイス(適格請求書)が必須

インボイス(適格請求書)の“6つの必須事項”

 消費税の課税事業者の場合、支払った経費に係る消費税について、「仕入税額控除」という控除を適用しなければ、消費税の納税額が増えてしまいます。

 仕入税額控除を適用するには、受け取った領収書・請求書等に、以下の6点が記載されている必要があります

  • ①インボイスの発行者名・登録番号
  • ②取引日
  • ③取引内容(軽減対象の場合はその旨)
  • ④税率ごとの金額と適用税率
  • ⑤税率ごとの消費税額
  • ⑥受領者名

簡易インボイス(特例)

 小売業・飲食店業・タクシー業・駐車場業など、不特定多数の者と取引する業種は、宛名の省略や「税額」か「適用税率」のどちらか片方でOKといった簡易インボイスを交付できます。受け取る側は、宛名が空欄でも不備とはなりません

「領収書が無くても帳簿記載だけでOK」なケース(特例)

 次のケースは、インボイスの保存がなくても帳簿記載だけで仕入税額控除が認められます(必要事項の記帳は必須)。

公共交通機関(電車・バス等)の運賃で、1回3万円未満のもの(公共交通機関特例)

自動販売機・自動サービス機による購入で、1回3万円未満のもの(自販機特例)

・引換時に領収書兼入場券等が回収される取引で、1回3万円未満のもの(回収特例)

一定の規模以下の事業者が対象となる取引で、1回1万円未満のもの(少額特例)※

 ※少額特例の対象となる期間・事業者は以下の通りです。

 ・対象期間:2023年10月1日~2029年9月30日

 ・対象者:基準期間(法人の場合は原則として前々事業年度)の課税売上高が1億円以下または特定期 間(法人の場合は原則として前事業年度開始の日から6ヶ月の期間)における課税売上高が5,000万円以下の事業者

まとめ

 経費になる領収書は「事業に関する支出」です。一方で経費にならないのは「事業と無関係な個人的な支出」の領収書です。

 また、日付や金額・使途が不明慮なもの、日付が不適切なものも経費として認められません。

 領収書やレシートがない場合は、取引先や金額、品目、日付などを出金伝票に記載することで経費として処理できます。

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